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Eコマース実務

Friends & Familyのロイヤルティ設計が紹介による成長を生む理由

あるロイヤルティアプリでは、新規登録の60%がFriends & Familyの招待から直接生まれました。この仕組みが、多年運用の既存プログラムを最初の2か月で上回った経緯をご紹介します。

Friends & Familyのロイヤルティ設計が紹介による成長を生む理由

Danny Khow(共同創業者 兼 マネージングディレクター)6分で読めます

たいていのロイヤルティプログラムは同じ育ち方をします。登録してもらい、ポイントを貯めてもらい、あとは会員がふと思い立てば友人に伝えてくれるかもしれない、という具合です。Friends & Familyの仕組みはそこを変えます。招待そのものをプログラムの動作の一部に組み込み、マーケティング施策として後付けするものにしないからです。それが実際に成長の数字として表れるのかを確かめるため、当社が構築した2つのロイヤルティプログラムを比較しました。片方にはこの仕組みがあり、もう片方にはありません。

仕組みを平たく言うと

Friends & Familyのグループでは、会員が他の人をひとつのグループに招待し、ポイントを一緒に貯められます。ひとつのアカウントが単独でポイントを集めるのではなく、世帯や友人同士がまとまって進捗を共有する形です。この設計上の選択ひとつで、根底にある動機が変わります。誰かを招待することは単なる親切ではなく、自分のポイント残高をより速く増やすいちばんの近道になるからです。会員は交換するためだけでなく、勧誘するために動くようになります。

実在する2つのプログラムを、匿名で比較する

両方のお客様に対して公平な比較にするため、ここではどちらのプログラム名も出しません。ただし、その裏付けとなるデータは実際のものです。

プログラムAは、Friends & Familyの仕組みを持たない、多年運用の確立された小売ロイヤルティプログラムです。2年をかけて、安定した日次の登録ペースを保ちながら大規模な会員基盤を築きました。すでに広く知られた信頼のある小売ブランドが背後にあり、母数となる既存顧客も抱えていました。

プログラムBは、初日からFriends & Familyの仕組みを中心に設計された、新規リリースのロイヤルティアプリです。移行できる既存のデジタル会員基盤はありませんでした。それでも最初の2か月間で、プログラムAの2年間平均を約15%上回る日次登録ペースで伸びました。

プログラムAプログラムB
Friends & Familyの仕組みなし初日から組み込み
運用期間2年以上最初の2か月
出発点となる基盤母数となる既存顧客ありデジタル会員基盤なし
リリース時の知名度確立され、信頼されている新規リリース
日次の登録ペース2年間のベースライン約15%速い
招待経由の登録割合該当なし60%

並べてみると、出発点がゼロの新規プログラムが、多年運用の既存プログラムに追いついただけでなく、日次ベースでわずかに速く、しかもはるかに短い期間で伸びたことになります。これは小さな結果ではありません。プログラムAは構造的な有利さをすべて備えていました。既存の顧客との関係、ブランドの認知、そして積み上げるための2年間です。プログラムBはそのいずれも持たずに始めて、なお上回りました。その主な支えが、すべての会員を勧誘者に変える仕組みだったわけです。

プログラムAは、比較対象として孤立した一例でもありません。この2つ以外にも、BridziaはFriends & Familyの仕組みを持たない標準的なロイヤルティプログラムを、4社の小売事業者向けに構築してきました。ただし、プログラムAについて得られているような導入初期のペースのデータは、そのすべてについて揃っているわけではありません。ですから、15%という差がそのまま全社に当てはまるとは主張しません。言えるのは、この比較が都合のよい一組だけから引き出されたものではなく、標準的な作り方で構築されたプログラムという、より広い母数を背景にしているということです。

この比較で証明できること、できないことについては、正直でありたいと思います。両者は異なるブランドであり、異なる業種であり、マーケティング予算も異なります。ですから、Friends & Familyの仕組みだけを唯一の要因として科学的な確実性をもって切り分けることはできません。それでも言えるのは、差の向きと大きさが、紹介の仕組みが実際に効いている場合に予想されるとおりのものであり、この仕組みが本来どう機能するよう設計されているかから導かれる予測とも一致している、ということです。

その予測は、より直接的な数字にも裏打ちされています。プログラムBの新規登録の60%は、Friends & Familyの招待から直接生まれたものでした。これは仕組みの副次的な効果ではなく、プログラムが実際に成長した経路の大半そのものです。先ほどのペース比較が結果を示しているとすれば、こちらはその結果を生んでいる仕組みにあたります。

なぜ効くのか

製品そのものに組み込まれた紹介には、マーケティング施策に後付けした紹介にはない利点が2つあります。ひとつは、広告よりもはるかに信頼度の高い経路、つまりブランドからではなく友人からのメッセージとして届くこと。もうひとつは、一度きりの押し出しではなく継続的であることです。招待の動機はローンチキャンペーンの終了とともに消えるわけではなく、プログラムが毎日どう動くかという構造の一部になっているからです。

見落とされやすい継続利用面の副次効果もあります。ポイントを共有するグループにいる会員は、自分がアプリを使い続けるかどうかだけを判断しているのではありません。自分が招待した人たちと一緒に使い続けるかどうかを判断しているのであり、そのぶん離脱のコストが上がります。

使い込まれた木の作業台に斜めに置かれた太い天然繊維のロープ。淡い色の数本の撚り糸がしっかりと編み込まれ、そのなかを深いクリムゾンの一本が通っている。
どの一本もそれぞれの一本であり続けますが、どれか一本を抜けば残り全体が緩みます。ポイントを共有するということは、離脱の判断に対してこれと同じ働きをします。

実際にぶつかるまで誰も考えない、運用ルールの問題

Friends & Familyの仕組みは、提案資料のうえでは単純に見えます。人を招待し、ポイントをまとめる、以上、という具合です。しかし本番環境でこの仕組みの成否を分けるのは、報酬ロジックとはまったく関係のない一連のエッジケースであり、現実の人間が現実の人間らしくふるまったときに何が起きるか、という部分です。当社ではそれぞれに対応するルールをすでに作り込んでいます。

決めておくべきこと決めないと何が起きるか

グループ管理者

誰が権限を持つか

所有者が定まっていないグループには、メンバーを追加または削除する権限も、グループを代表して判断を下す権限も、明確には存在しません。すべてのグループには、作成された時点で管理者が定められている必要があります。争いが起きて初めて問われる後付けの事項にしてはいけません。

強制的な脱退処理

争いをどう決着させるか

友人同士も家族も仲違いします。招き入れる手段だけでなく、管理者がメンバーを強制的に外せる手段がシステムに必要です。それがないと、この仕組みは自ら選んで参加したものではなく、抜けられないと感じさせるものへと静かに変わっていきます。

脱退時のポイント

何を持って出るのか

ポイントをまとめている以上、メンバーの離脱(自発的か、強制的かを問わず)はただちに疑問を生みます。その人が貯めたポイントはグループに残るのか、それとも一部が本人について出ていくのか。ここを未定義のまま放置すると、会員がどちらを期待していたのかを、サポートへの問い合わせという最も手痛い形で知ることになります。

管理者の引き継ぎ

所有者が辞めたらどうするか

管理者がアプリを離れたりアカウントを削除したりした場合、グループには定められた引き継ぎの道筋が必要です。別のメンバーを自動的に昇格させるのか、グループに後任を指名させるのか、あるいは明確な解散手続きを踏むのか。いずれにせよ、所有者不在の壊れた状態で放置されてはなりません。

長い共用の木製テーブル。途中の椅子が一脚だけ大きく引かれて席から外向きに置かれ、その前の席にはボウルとカップ、そしてクリムゾンのリネンのナプキンがそのまま残されている。
席は空いていて、取り分はまだテーブルに残っています。それがそこに残るのかどうかは、最初の問い合わせが来る前に誰かが決めておくべきルールです。

これらはいずれも報酬ロジックの問題ではありません。プロダクトの運用ルールの問題であり、企画会議では些細な点に見えていながら、事前に決めておかないとローンチから数週間でサポートの実負荷になる類のものです。

ロイヤルティプログラムを設計する立場なら

ローンチ後ではなくローンチ前に押さえておきたい、実務上のポイントをいくつか挙げます。

  • ポイントの共有方法を決める。 グループで完全に共有する、招待した本人にだけボーナスを付ける、その折衷にする。それぞれ生まれる動機が異なるので、自社の製品が実際にどう使われているかに合った選択をしてください。
  • 妥当なグループ人数の上限を設ける。 上限なしは不正を招きますが、上限が小さすぎると仕組みが軌道に乗る前にその広がりを狭めてしまいます。
  • 不正防止を最初から作り込む。 とくにポイントが実際の金銭価値に換算される場合は重要です。紹介の仕組みは、悪用を試みる対象としても最もわかりやすいものだからです。
  • 招待の導線そのものを滑らかにする。 これだけ効果のある仕組みでも、誰かを招待するのに数タップ以上かかるようでは力を発揮しきれません。
  • 上記4つの運用ルールをローンチ前に解決しておく。 最初の問い合わせに決断を迫られてからでは遅すぎます。

ロイヤルティプログラムの構築や見直しを進めていて、実際に機能するよう組み立てられた紹介の仕組みをお求めでしたら、ロイヤルティCRMについてご相談ください

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